まず、契約しているものを全部洗い出す
サブスクの見直しでいちばん大事なのは、解約することではありません。今、自分が何にいくら払っているかを正確に把握することです。ここが曖昧なまま「なんとなく高いから減らそう」と手をつけると、結局よく使っているものを解約してしまったり、逆に無駄なものを見逃したりします。
なぜ把握が難しいかというと、支払い方法がバラバラだからです。クレジットカード引き落とし、口座振替、スマホのキャリア決済、App StoreやGoogle Playを経由した課金。どれか一つの明細を見ただけでは全体像がつかめません。しかも金額が数百円から千円台と小さいものが多いので、明細を眺めていても見落としやすいんですよね。
たとえば、クレジットカードの明細を3ヶ月分さかのぼって見てみたら、動画配信サービスが2つ、音楽アプリ、クラウドストレージ、フィットネスアプリ、電子雑誌の読み放題まで契約していて、合計すると月に7件も引き落とされていた、というようなことは珍しくありません。ひとつひとつは小さくても、積み重なると意外な金額になります。
ここで気をつけたいのは、家族カードや家族共有プランを使っている場合です。契約したのは家族の誰かで、支払いは自分のカードから、というケースもあります。逆に、自分が契約したはずのサービスが家族の口座から引き落とされていることもあります。世帯で洗い出すつもりで確認したほうが、抜け漏れが少なくなります。
見直しに必要なものをそろえる
結論から言うと、必要なのは特別な道具ではありません。直近3ヶ月分の支払い明細と、書き出すための紙かスプレッドシート、それだけです。あとは各サービスのログイン情報が手元にあると作業がスムーズになります。
なぜ3ヶ月分かというと、月払いのサービスでも請求日がずれていたり、年払いのものが混ざっていたりするからです。1ヶ月分だけ見ても全部は出てきません。カード明細、銀行の入出金明細、スマホの「サブスクリプション」や「購読」の設定画面、この3つを順番に確認すると、かなりの精度で洗い出せます。
紙にメモしてもいいですし、スプレッドシートに「サービス名・金額・支払い方法・支払いサイクル・最後に使った日」の項目を作って埋めていくのもいいでしょう。私は後者をおすすめしますが、これは好みの問題なので、書きやすい方法でかまいません。ただし、家計簿アプリと紙のメモを両方使って二重管理になると、結局どちらも中途半端になりがちです。ひとつのファイルにまとめておくのが後々ラクです。
迷いやすいのが、キャリア決済やコンビニ払いのサブスクです。これらはカード明細に載らないので見落としやすい。スマホの設定アプリから「サブスクリプション」や「定期購入」といった項目を探すと、契約中のものが一覧で出てくることが多いので、そこも必ず確認してください。ここを飛ばすと、あとで「そういえばこれも払っていた」と気づくことになります。
実際の手順:使ったかどうかで仕分ける
洗い出しが終わったら、次にやることは金額順に並べることではありません。「直近1ヶ月で実際に使ったかどうか」で3つに分けることです。これが見直しの核になる作業です。
なぜ金額ではなく使用頻度で見るのかというと、金額の大小だけで判断すると失敗しやすいからです。月1000円台のサービスを高いと感じて解約したのに、実は毎日使っていて生活の質が下がった、ということが起こります。逆に月300円だからと放置していたサービスが、実はまったく開いていなかった、ということもよくあります。
具体的には「頻繁に使っている」「たまに使う」「まったく使っていない」の3グループに分けます。たとえば動画配信サービスを月1500円で契約していても、ログイン履歴を見たら直近2ヶ月開いていなかった。一方で500円の音楽アプリは通勤中に毎日聴いている。この場合、判断は単純です。金額の大きい方から見直しの候補になります。
ここで迷うのが、季節性のあるサービスです。語学学習アプリを繁忙期だけ集中して使う、確定申告の時期だけ使う会計ソフト、こういうものは「今月使っていない」というだけで切ってしまうと、次に必要になったときにまた登録し直す手間がかかります。使用頻度だけでなく、年間を通してどういうリズムで使っているかも合わせて考えたほうがいいところです。ここは迷うところですが、私は「年に数回でも代えが効かないもの」は残す派です。
解約するときにつまずきやすい実務
仕分けが終わって「これは解約しよう」と決めても、実際の解約作業は思ったより手間がかかることがあります。契約した経路によって解約の入口がまったく違うからです。
Webサイトから直接契約したものは、そのサイトのマイページから解約できることがほとんどです。ところが、スマホのアプリ内から契約したものは事情が違います。アプリ自体に解約ボタンがなく、実はiPhoneならApp Store、AndroidならGoogle Playの「サブスクリプション管理」画面からしか解約できない、という作りになっているサービスが少なくありません。
実際にあるパターンとして、アプリの設定画面をいくら探しても解約や退会の項目が見つからず、調べてみたら「このアプリの課金はストア側の管理画面から行ってください」という案内だけが小さく書いてあった、ということがあります。焦らず、まずスマホのストアアプリ側の設定を確認するのが近道です。
もうひとつ注意したいのが、年払いのサービスです。月払いに比べて割安な分、途中で解約しても残りの期間分が返金されないことが多いです。また、自動更新の設定になっている場合、更新日の数日前までに手続きしないと、そのまま次の1年分が課金されてしまうこともあります。解約すると決めたら、次の更新日がいつかを先に確認しておくと安心です。
見直しは一度で終わらない、という前提で
ここまでの手順で一度きれいに整理できても、半年後にはまた同じ状態に戻っていることがあります。見直しは一回きりの作業ではなく、続けていく仕組みにしておく必要があります。
理由は単純で、新しく契約したサブスクを記録に足し忘れるからです。無料お試し期間につられて登録したものが、期間終了と同時に自動的に有料化していて、そのまま数ヶ月分課金されていた、という話はよく聞きます。無料期間だからと油断していると、いちばん見落としやすいところです。
対策としては、最初に作ったスプレッドシートを更新し続けることに尽きます。新しく何かを契約したら、その場で一覧に書き足す。カレンダーアプリに「無料期間終了日」をリマインダーとして入れておく。手間は少しかかりますが、これをやっておくだけで、うっかり課金を防げます。3ヶ月に1回くらい、明細を見返す日を決めておくのもいいと思います。
ただし、全部を削ることが正解とは限りません。生活の満足度を上げているサービスまで無理に解約すると、かえってストレスになって、結局また契約し直すことになりがちです。見直しの目的は「使っていないものにお金を払い続けない」ことであって、「支出をゼロに近づける」ことではありません。ここは意外と混同しやすいので、覚えておいてほしいところです。

